最新号:2025.12.16更新

2024年1月~12月のコラムはこちら

2023年1月~12月のコラムはこちら

2022年1月~12月のコラムはこちら

2014年~2021年コラムはこちら

チームコラムはこちら

「条件」がありますが可能です。遺言書の内容と異なる遺産分割

「相続させる」と「遺贈する」の違い

遺言は、自分の財産を誰にどのように残したいか確実に伝えるための手段です。

遺言書のひな型を見ると、次のような表現があります。


・「(人名)に(財産)を相続させる」

・「(人名)に(財産)を遺贈する」



「相続させる」は、法定相続人に対してのみ用いられ、「遺贈する」は、それ以外の者に用いられる言い回しです。前者の「相続させる」旨の遺言は、「特定財産承継遺言」といい、「遺産分割方法の指定」に当たります。この遺言は、遺言書を作成した方が亡くなった時点で効力を持ち、財産は遺言どおりに承継すると最高裁で判示されています(分割協議の必要はありません)。


遺言書の内容と異なる分割はできるのか?

ただ、遺言書を作成した方(例えば親)が亡くなった後に子が遺言書を確認してみると、親が遺言書を作成した時と事情が変わっていたり、親の意向とは異なる分け方をした方が子らにとって合理的という場合があります。「特定財産承継遺言」の場合、効力が即時に発生してしまいますが、遺言書と異なる内容により、相続人間で遺産を分けることはできるのでしょうか。


相続人全員の合意等があればOK

実務(判例等)においては、「特定財産承継遺言」でも、次の要件を満たす場合には、遺言の内容と異なる遺産分割ができます。



⑴ 被相続人が、遺言で遺産分割協議を禁止していないこと 

⑵ 相続人全員が遺言の存在と内容を知った上で、遺言と異なる遺産分割協議をしていること




また、相続人以外の受遺者がいる場合又は遺言執行者が指定されている場合には、受遺者や遺言執行者の同意が必要です。

なお、国税庁のタックスアンサーでも、①相続税は、遺言の内容でなく、遺産分割協議の内容で計算し、②遺言書の内容で財産を取得した後に、相続人間で交換や贈与があったとはみなされない(贈与税等は課されない)と記されています。

遺言を承認した行為をした後ではNG


ただし、その遺言に基づいて不動産登記を行った後に、遺言と異なる遺産分割を行う場合には、外見的には遺言を承認する形となるため、相続人間で交換・贈与が行われたとみなされます。所得税・贈与税の課税リスクが生じますので、注意が必要です。


バックナンバー

Weekly Newsのバックナンバータイトル一覧です(クリックでPDF表示)。

※2024年1月~12月分は、こちらにて公開しております。

※2023年1月~12月分は、こちらにて公開しております。

※2022年1月~12月分は、こちらにて公開しております。

※2014年~2021年分は、こちらにて公開しております。

※各チームのコラムは、こちらです。

1月

2月

・令和7年度税制改正大綱 ~資産課税編~

・令和7年度税制改正大綱 ~法人課税編~

・令和7年度税制改正大綱 ~消費課税編~

・使い勝手良い適格現物分配

・令和6年分確定申告の変更点

・みなし退職所得老齢一時金に係る退職所得控除額調整計算の見直し

・義援金の確定申告の注意点

3月

4月

・ふるさと納税等 寄付金控除のルール

・所得税の確定申告 税金の納付方法

・中小企業のリース会計と法人税

・実感できない?年収の壁引上げを感じない理由

・フィッシング詐欺の税務

・中小企業の新たな保証制度~経営安定化への道~

・M&Aがぐっと身近に~事業承継・M&A補助金~

・小規模宅地等特例の適用可否

・所得の必要経費にできる費用

5月

6月

・蛍光灯は再来年でおしまいLED取替工事の取扱い

・相続税申告での税理士との向き合い方

・参加率50%未満の社員旅行

届出をしたのに支給はゼロ 事前確定届出給与の不支給
・会社役員・使用人兼務役員・みなし役員

・令和7年度税制改正住宅ローン控除のおさらい

・「みなし登録期間」内に登録を!相続があった場合のインボイス登録

・暦年贈与信託による生前贈与

・具体的な資料と説明の準備を!棚卸資産の評価損

7月

8月

・中小企業会計と個別注記表「重要な会計方針」に係る事項

・給与所得者の住民税は特別徴収が原則、普通徴収は例外適用

・未稼動資産の会計・税務

・特定親族特別控除の創設と健康保険の取扱い

・相続人の家屋が未登記の場合ー相続空き家の特例ー

・役員の過労死による労災が認定される
・中小・中堅企業でもチラホラ 食事の支給による経済的利益と給与課税
・-相続税の債務控除-「確実な債務」

9月

10月

・2以上の用途・構造の建物の耐用年数
・インボイス制度に関するQ&A
・キチンと引退できていないとNG 分掌変更した場合の役員退職金
・NPO法人の収益事業課税要件
・「集中生産」の場合には要注意!機械装置の移設費用
・親の自宅を子がリフォームした時の課税
・「債権譲渡」か?「決済代行」か?キャッシュレス決済手数料の消費税
・教育資金一括贈与の非課税30歳で管理契約が終了した場合
給与所得控除-概算控除の功罪-

11月

12月

・適用する耐用年数に要注意!中古建物購入時に改良を加えた場合
・盛大になる場合は注意が必要!法人税法上の社葬費用の取扱い
・令和8年11月からスタート!新しい免税制度「リファンド方式」
・業績悪化で減額した役員給与を元に戻す時期

・賞与の支給回数と賞与支払届
・令和7年11月20日施行 通勤手当の非課税限度額改正
・「条件」がありますが可能です。遺言書の内容と異なる遺産分割
バックナンバー2014-2024